多くの店は閉めているだろうと思いつつ、バークレーとサンフランシスコのクリスマスの様子を見に行った。
フェリー・ビルディングもウェストフィールドもダイソーも閉まっている。
ざっと見た印象では8~9割程度が休業。開いていたのは、Safeway、Walgreensのほか、アジア系の店やレストラン(写真はサンフランシスコの源吉兆庵)。
フェリー・ビルディング前のアイス・スケート・リンクは営業中。
クリスマスといえば、数日前に見かけて気になっていた以下の記事。
いわく、「近年のアメリカでは、『メリークリスマス』は気軽に使ってはいけない言葉」。
……さまざまな宗教の人が混在するような公の場では、「メリークリスマス」の代わりに「ハッピーホリデー(Happy Holidays)」と言うのが主流化してきた。
特に多民族の街ニューヨークでは、この時期になると店のスタッフや会社の同僚と交わす挨拶として「ハッピーホリデー」は決まり文句だ。先日も会社で「クリスマスパーティー」ならぬ「ホリデーパーティー」が開催されたし、仕事相手から届くのは「メリークリスマス」ではなく「ハッピーホリデー」と書かれたカード。「祝・クリスマス」に沸くニューヨークからは、「クリスマス」という言葉だけが奇妙に消し去られている。
……今ではアメリカの大企業はこぞって「ホリデー」派に転換している。
しかし、ニューヨークの様子を「アメリカ」と一般化することには疑問があるし、バークレーで生活している印象とも異なる。バークレーもニューヨークに負けず劣らず(あるいはニューヨーク以上に)リベラルで「政治的に正しい」街だが、昨夜訪れたレストランでは店員に "You guys, merry Christmas!" と送り出された。また、街中でも 「メリー・クリスマス」 は聞こえてくる*1。
さらに、以下のいくつかの企業のサイト*2や、大統領、大学*3、ゴールデン・ステート・ウォリアーズのツイート等でも「メリー・クリスマス」が使われている。
The best part of the holidays is the time we share with those we love. On behalf of Michelle, Malia, and Sasha, Merry Christmas everyone. pic.twitter.com/EznGyxluS8
— President Obama (@POTUS) December 25, 2016
Merry Christmas, everyone! 🎄 https://t.co/pTYlBmzbRE pic.twitter.com/RvnaXvWyFw
— UC Berkeley (@UCBerkeley) December 25, 2016
Wishing you a Merry Christmas & very Happy Holidays, #DubNation! 🎅🏽🌲🏀 pic.twitter.com/I9YWTMworn
— GoldenStateWarriors (@warriors) December 25, 2016
記事に指摘されているアマゾンも「メリー・クリスマス」をまったく使っていないわけではないし、CNNでもスタジオはクリスマス風に飾り付けられ、キャスターが "Hello, merry Christmas!" と切り出していた(あわせて、"Happy Holidays" も用いていた)。
管見の限りでは「メリー・クリスマス禁止」は言いすぎであるように思う。「メリー・クリスマス論争」は、ポリティカル・コレクトネスの行きすぎというより、「なぜ『メリー・クリスマス』以外が許容されているのか」という「メリー・クリスマス」派の反発(「メリー・クリスマスを用いない奴がいるなんて許せない」的な、あるいは「ポリコレなんか許せない」的な、あるいはそもそも「異教徒なんて」的な)、と理解するべきではなかろうか。「メリー・クリスマス禁止」は「黒く塗っておいて黒いと批判する」式の議論に思えてならない。